取材にご協力いただいた人事部人事グループの
松田 桃子さん
株式会社イセトーは、1855年に和洋紙の卸問屋「伊勢屋商店」として京都に創業した老舗企業。1979年以降は、DM/各種明細/通知書などの発行・送付を代行する情報処理サービスへと業容を拡大し、今日では取引先3,000社を有する業界屈指のポジションを確立しています。
同社では「働き方改革」の一環として、2018年からマイクロソフト オフィス スペシャリスト(以下、MOS)取得に取り組んでいます。MOSの導入経緯や活用効果について、人事部人事グループのお二方にお話をお伺いしました。
MOSを導入したきっかけを教えてください
MOS導入のきっかけは2017年、全社で検討していた「働き方改革プロジェクト」です。社内の教育研修プログラムを策定する本プロジェクトでは、より良い働き方の実現を目指し、さまざまな社員にアンケートやヒアリングを行いました。そのなかで、「資料や提案書の作成に時間がかかる」という意見が若手社員を中心に挙がり、調べてみるとExcelやPowerPointの利用スキルに個人差があることが判明しました。
所属部署や担当業務によって使い方の程度に違いはありますが、全社員でスキルアップを目指すことが“生産性の向上”につながると考え、2018年に研修プログラムの一つとしてMOSを取り入れることを決めました。
社員研修プログラムにMOSをどのように取り入れたのですか
若手社員向けの研修制度内の取り組み資格として、新入社員向けにMOSのExcel、2年目の社員にPowerPoint取得を位置づけました。
新入社員は入社後、2カ月ほど本社で基礎的な研修を受け、その後全国にある各拠点に配属が決まります。配属後は、OJT研修となり先輩社員の業務サポート&実践を通じて業務を習得していきます。MOSは配属決定後、1年間の取得期間を設けて取り組んでもらっています。配属先に人事部からMOSの受験チケットと対策テキストを送り、取得期間内に勉強して受験するよう案内しています。入社2年目になると、3分間の発表を行う「プレゼンテーション研修」を実施するため、その研修に役立つようPowerPoint取得を案内しています。2018年の開始から今日まで、200名あまりの社員がMOS 2科目を受験しています。
MOSについて若手社員の方から、どのような意見がありましたか
2023年度入社で、現在MOS(Excel)を勉強している社員にヒアリングしたところ、
- ●「Excelは卒論作成時のデータ整理に自己流で使っていたのですが、対策テキストで勉強して、見やすい表づくりや集計しやすさの工夫など、反省すべき点にいろいろ気づくことができました。パソコンは苦手ですが、一つひとつじっくりと身につけて合格を目指します」
- ●「いままでExcelを触ったことがなく、知識ゼロからのスタートでした。勉強して、[参照]機能が自分の苦手分野だと感じたので、参照元の確認や計算チェックするなどして実務でのミス防止につなげたいです」
- ●「これまで基礎的なことを学んでこなかったので、MOSの勉強によって基本的な機能や役立つショートカットキーなど、便利な使い方を幅広く知ることができました。操作をしながら理解を深め、対策テキストを熟読して不安な部分を解消したうえで受験に臨みます」
など、Excelに不慣れな新入社員が多くいるものの、MOSの学習を通じてより具体的な目標を見出してくれていると感じました。
当社では、日々の数字の集計や活動報告のまとめなどにExcelを使わない日はなく、営業職であればお取引先様への資料として、計算式の入ったExcelを月次で提出します。配属後3年間のOJT研修で所属部署の先輩社員がしっかりフォローしますが、各自の業務を効率的に進めるためにもExcelスキルは早い時期に自分のものにしておいてほしいと考えています。
MOSは各アプリケーションの基本的な使い方を体系的に学べる対策テキストがあり、一人ひとりの学習状況にあわせて自身の裁量で受験日を決められます。また、北海道から九州まで全国に拠点のある当社にとって、社員が各々の配属先エリアにある試験会場を本人が選んで受験できることも、本人・会社とも負担が少なく良い点だと感じています。
MOS取得の効果は実感できているでしょうか?
各部署から人事部に、ExcelやPowerPointの利用スキルに関する要望は挙がってきていません。入社1~2年でMOSを取得して基本的な使い方を身につけ、業務にスキルを活かしているからだと思います。
一方、入社3~4年目の社員を対象とした研修では、「もう少し高度な内容を習得するため、さらに上のレベルのExcel(上級)のセミナーを受けてきた」「作業の自動化のため、マクロを組めるようVBAスキルアップを各部署で取り組んでいる」という話を耳にしました。社内には、 “使いこなして便利になるのであれば積極的に使っていきたい!”という雰囲気があり、人事や上司から言われたからではなく、アプリケーションの利用スキルを習得したことで楽しさを覚え、“もっとスキルを高めたい!”というモチベーションにつながっているように感じます。
当社は既存事業に加え、近年ではWebサービスやパーソナライズ動画など、デジタルコンテンツを融合した新しいサービスの開発・提供も行っています。『コミュニケーション・イノベーター』という会社理念のもと、これからも新サービスに必要なスキルを資格取得で学び、社員一人ひとりが好奇心をもって新しいことに挑戦し続けてほしいです。
※掲載内容は、2023年8月取材時のものです。