創業から130年以上の歴史をもつ兼松株式会社は、「電子・デバイス」「食品」「畜産」「食糧」「鉄鋼・素材・プラント」「車両・航空」の6つの事業を手がける総合商社。
全社的にあらゆる場面でExcelを使う同社では、2006年から昇格要件の資格のひとつとしてマイクロソフト オフィス スペシャリスト(以下、MOS)を導入しています。
内定者/新入社員研修におけるMOSの取り組み概要やその影響について、人事総務部 人事開発課の方々にお話をうかがいました。
MOSのお取り組み概要を教えてください
MOS(Excel)は、昇格要件の資格のひとつとして、2006年から研修メニューのなかに取り入れてきました。以降、入社前の内定者時代に取得しておくことも可能としております。大枠の流れとしては、毎年、10月の内定式にMOSの対策テキストを配布して、翌年1月に受験バウチャー(受験チケット)と受験方法が記載された資料(PDF)を各人にメール送付。そして内定者は、自分が希望する試験会場を公式サイトから選んで受験します。MOS取得は、入社後の昇格要件としているため、昇格認定期日までに取得すればよいのですが、入社前に学習教材と受験の機会を提供しているため、大半の方が入社前に取得しています。
昇格要件の資格としてMOSを継続している理由とは?
入社後は、どの部署に配属されたとしても、あらゆる場面でExcelを使うため、仕事を進めるうえで必要な基本スキルが習得できる手段としてMOSを利用しています。社員が同じスキルを有することで、業務が円滑に遂行されています。同様の理由から、『日商簿記』(3級)と『TOEIC』(600点以上)などの公的資格も昇格要件になっています。
入社前のパソコンスキルは?
2年前くらいまでは「パソコンを持っていない」という学生が見受けられ、昨今の内定者のなかでも「Excelを使ったことがない」という方も少なくありませんでした。印象としては、半分くらいが「初めてExcelを使いました」といった状況でした。入社してからは業務を進めるうえで覚えることが多く、Excelの使い方を勉強する時間も限られるので、基礎的なExcelスキルはMOSを通じて効率的に身につけてもらっています。
内定者に対するMOS取得の推進効果はいかがですか?
弊社の内定者は、「入社後、すぐ活躍できるようになりたい!」というマインドをもっている方々なので、MOSも仕事に必要なスキルとして入社前に主体的に取り組んでいるのは嬉しい点ですね。試験も全国各地でほぼ毎日受けることができ、各々の学習の進捗状況に応じて自分自身で受験日を決められるのも、利便性の面からしても嬉しい点です。受験する場所に融通が効くところは、内定者に限らず、会社側にとっても事務作業の軽減につながり、その分、一人ひとりと向き合う時間に充てることができています。
MOS取得後の利点について、かつて内定研修で取得した既存社員に聞いたところ、
- ●「実際に仕事でExcelを使うときには、資格の勉強で学んだことを思い出して時短につながる効率的なやり方で進められた」
- ●「入社した当時、はじめて取り組む業務は不慣れでも、“MOSという資格を持っている”ということが自信につながった」
- ●「Excelは大学時代からある程度使えていたが、MOSを取得したことで、この資格に相当する知識をきちんと持っていたことがわかり、“自分のスキルは入社後に活かせる”という安心感をもって入社できた」
- ●「MOSの受験勉強を通じて、それまで自己流で覚えていた操作方法に時間がかかっていたことに気づくことができ、Excelの作業効率を上げていくことに役立った」
といった声が寄せられるなど、仕事の時短や業務の効率化に加え、仕事に入る前の自信にも一役買っていたようです。
弊社ではいま、社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が重点施策として加えられ、ITリテラシーを高める新たな学習機会を検討しています。内定者や新入社員を問わず、学び続けることの大切さは、今後の会社を担う人材育成の基本であり、これからも社員一人ひとりの成長をサポートしていく学びの機会を創っていきたいと考えています。
※掲載内容は、2021年8月取材時のものです。