JTBデータサービスは、ユニークなスキルを活かして活躍の領域を広げるとともに、障害やハンディキャップがある人たちに働きがいと活躍の機会を創出していく会社です。
同社では、業務領域の拡大を契機に、全社員のパソコンスキルの標準化を目指した社内研修にマイクロソフト オフィス スペシャリスト(以下、MOS)を活用。
採用の理由や研修内容、活用後の効果について、営業部長の海老 小霧さんと総務部長の樋口 小百合さんにお聞きしました。
御社の事業概要について教えていただけますか?
弊社は、1993年にJTBグループの特例子会社として認定されて今日に至るまで、障害やハンディキャップのある方の積極的な雇用を推進しています。また、2022年度からは、障害者に特化した人材紹介・定着支援サービスを開始しました。現在の社員数は130名で、約90名が障害のある方です。
主な事業はJTB各社の業務サポートで、データ入力・加工・集計や各種案内チラシや慶弔品のラベル作成および発送、郵送物の配布業務や清掃業務など、JTBグループから受託した多岐にわたる業務を行っています。業務は依頼先に出向いて行うケースも多く、いまは50名ほどが全国各地で業務に従事。パソコンを使って行う業務も多々あり、ExcelやWord、PowerPointなどのOffice製品アプリケーションは日常的に使用しています。
社内研修にMOSを導入した理由とは?
ExcelやWordが使えず業務に支障が出るようなことはありませんでしたが、マクロを組むなどの少し高度なスキルをもつ社員の数は限られていました。しかし近年、受託業務のなかには高いスキルを必要とする案件が徐々に増えてきており、結果、高度なスキルを持つスタッフに仕事が集中していました。そこで、出向先や社内で即戦力となる人材の育成と、属人化の低減による業務領域の拡大を第一のステップと捉え、パソコンスキルの標準化を目標とした研修を行うことにしました。
「新入社員研修」や「マネジメント研修」といった一般的な研修とは異なる、パソコンスキルだけに焦点を絞った研修は初めての試みでした。企画段階では、パソコンのスキルアップに関するさまざまな研修内容を検討しましたが、最終的にはMOSの導入を決定。最大の理由は、「スキルアップ研修の成果として、全社員にMOSという資格をとってほしかった」からです。
前述したように弊社は出向中の社員も多いため、集合型研修は日程調整が難しく、また、高度なスキルアップ習得のために研修期間が長期にわたるものも参加ハードルを上げてしまうのではないかと感じていました。MOSであれば、各人が自分の都合に合わせ時間をつくって独学できますし、レベルも一般と上級がありステップアップできるところも良い点です。社員のなかにはすでにMOSを取得済みの人もいて、採用面接でパソコンスキルの証明に「MOSの資格をもっています」と聞いたこともありました。ただ、全体から見ればMOSの取得者はさほど多くありませんでした。このような状況から、日常業務に欠かせないアプリケーションであり、資格取得を成果目標にできることから、MOSの導入はすんなりと決まりました。
研修プログラムの実施内容をお聞かせください。
研修は出向社員を含めた114名を対象に、以下のような流れで実施しました。
- 1)全社員向けに「パソコンスキルアップ研修」の案内をメールで告知
- 2)受験希望者に対策テキストを配布し、社内ポータルサイト上でオリジナルの試験対策問題を提供(計3回)
- 3)試験対策問題の提供後は、独学中の不明点を補うための社内勉強会を実施(計3回)
- 4)各人が自分の学習進捗に合わせ、希望受験日と試験会場を自分で選んで申込み、受験(受験料は会社負担)
- 5)合格者への表彰(取得期間に準じた「合格祝い商品券」の進呈)
研修には対象者の約60%である66名が参加・受験し、うち49名が合格。合格者には朝礼時、社長が一人ひとりに祝福の言葉をかけて表彰しました。オリジナルの試験対策問題の作成や社内勉強会は、WordやExcelのスキルに加え、AccessやVBAなどのより高度なスキルをもつ2名の社員を選出し実施しました。この2名の社員も今回の「パソコンスキルアップ研修」でMOSの上級レベルを取得しています。学習サポートを担当した社員は大変だったと思いますが、目標に向かってみんなで協力しあったことが70%を超える合格率の高さにつながったと考えています。
MOS取得後の効果はいかがですか?
MOSを取得した本人と所属部署の上長に聞いたところ、
- ●いままで使ったことのなかった関数を覚えたことで、作業が格段にスピードアップした(Excel合格者)
- ●外部向けの提案書づくりが増えてきたので、わかりやすい資料を効率的に作る方法を知ることができて良かった(PowerPoint合格者)
- ●業務指示を伝える際、アプリケーションの機能について共通言語・共通理解のもと話を進められ、意思疎通がスムーズになり、作業時間の効率化と正確さにつながった(合格者の所属部署の上長)
など、学習を通じて触ったことがなかった機能を知り、実務で活かすことの面白さと、その結果としての効率化を実感しているようです。
この研修は、2023年度も継続していますが、前回と同じくらいの参加・受験希望の申込みがありました。参加者は、前回とは異なる科目やレベルで申込むなど、スキルの幅を広げる意欲的な参加となっています。
今回、初めて「パソコンスキルアップ研修」を企画・実施し、「新しいことを学びたい、何かを身につけたい」という学習モチベーションの高い社員が想定以上に多くいることがわかりました。MOSに合格したことで自分の強みが増えて自信がついた社員も多く、さらなる学習意欲の向上やモチベーションアップにつながっているようです。これをきっかけに、より高度なスキル習得に挑戦して、さらに幅広い業務に取り組んで活躍することを期待しています。
※掲載内容は、2023年3月取材時のものです。