(左)田﨑秀成さん、(右)平山みずほさん
テクノロジーとデータを駆使し、地域の未来を創造する『デジタル推進企業』を目指して、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している株式会社肥後銀行。同行では、2021年度から行員のDXリテラシーを高めるため、オデッセイコミュニケーションズが主催する「ビジネス統計スペシャリスト(エクセル分析ベーシック)」を採用しています。
経営企画部デジタル戦略室の田﨑秀成さんと人事部人材開発グループの平山みずほさんに、「ビジネス統計スペシャリスト」採用の背景や経緯、その効果についてうかがいました。
貴行で取り組んでいるDXの概要を教えてください
私たちは金融持株会社でもある株式会社九州フィナンシャルグループ全体でパーパス(企業の存在意義)を掲げています。具体的には「お客様や地域の皆様とともに、お客様の資産や事業、地域の産業や自然・文化を育て、守り、引き継ぐことで、地域の未来を創造していく為に存在しています」というものです。
そのパーパスを体現するため、デジタルテクノロジーを活用し、地域社会を持続的に発展させていきたいと考えています。世の中の変化に対応していくため、銀行も変わっていく必要があり、デジタルテクノロジーを活用して過去にできなかったことに取り組む変革自体もDXと考えています。
会社によって目指すDXは異なるものなので、私たちはまず「肥後銀行にとってのDXは何なのか?」を定義することからスタートし、2021年7月に「肥後銀行DX計画」を策定しました。
DXを推進するなか、ビジネス統計スペシャリストを採用した背景をお聞かせください
当行では以前からエクセルやワードなど、ITリテラシー基礎スキル向上の取り組みを行っていました。そんななか2020年頃から、ビジネス環境の変化に対応するためには、行員一人ひとりのDXリテラシーを向上していかなければならないという話が行内で出ました。
具体的に何を学ぶのがよいかを検討した時に、データ分析や統計について基礎から学んでいくのがよいのではないかと考え、「エクセル分析ベーシック(基礎レベル)」の導入を決めました。「エクセル分析ベーシック」はエクセルでのデータ分析方法を学べますので、内容の理解と並行して、実践的なスキルの向上も図れるというところでも導入を決定するに至ったポイントです。(平山さん)
ビジネス統計スペシャリストを採用して何か変化や効果はありましたか
統計についての知識がまったくない者も多くおりましたので、まずは基礎知識を身につけられた点が良かったです。いままでは、ただグラフを作って、なんとなく数字を見ていたのが、「こういう意味があったとわかって、より明確に課題や分析に使えるようになった」という声や、基礎知識を習得した結果、行員間でデータ分析に関する最低限の会話ができるようになったという話もよく耳にします。採用当初は、まだ資格の認知度が低かったので、行内の自己啓発サイトに教材の情報を掲載するだけでなく、データ分析を学ぶことの意味や必要性についても掲載しました。試験に合格するためでなく、“内容をしっかり理解して仕事に活かしていこう”というメッセージを継続して発信していくことで、徐々に浸透していきました。
導入から2年ちょっと経ち、700名以上の行員が「エクセル分析ベーシック」を取得しています。より専門的な人材を育成する土台作りができ、さらに難易度の高いレベルに挑戦する基礎ができました。
会社で仕事をするうえで、エクセルは必須ではないけれど、ほぼ皆が使うツールだと思っています。DXを進めるという観点では、エクセルはツールの一つでしかないのですが、反面、大規模な、例えばシステムを導入してBI(ビジネス・インテリジェンス)を作るよりも、簡単に身の回りのデータを可視化できる側面があるので、用途によってはすごく使えるツールだなと。私自身も実際に受験しましたが、「エクセル分析ベーシック」は、非常に基礎的な統計や分析の知識と、社会人が備えるべきエクセルというツールの活用能力をカバーされていて、気軽にチャレンジもできるし、それでいてしっかりビジネス力がつくというところがとても良い点かなと思っています。(田崎さん)
今後の取り組みについてお聞かせください
「肥後銀行DX計画」では、DXに向けた環境整備のため、全社的なマインドセットの主軸に「お客さま起点」を掲げています。まずは、全行員が顧客体験を起点に考えるという考え方を身につけることが必要だと考えています。顧客体験を起点に、商品やサービスをゼロベースで設計できるよう研修や制度の整備を進めていく他、今後も、「ビジネス統計スペシャリスト」をはじめとした資格試験も活用しながら取り組んでいきたいと思っています。
さらに、従業員の声を反映させ、働きやすい会社になっていくためにも、行員一人ひとりの能力やスキル・知識を常に向上していく必要があります。
当行自身のDXはもとより、地域社会のDX実現に貢献できるよう取り組んでいきたいです。
※掲載内容は、2023年9月取材時のものです。